今回の記事は、みんな大好きタルトのお話です。
- イチゴのタルト
- フルーツタルト
- レモンのタルト
などなど、甘いタルトのうえにカスタードクリームを塗って贅沢にフルーツがたっぷりのっているタルトは鮮やかで惹かれますよね。
でも・・・タルトの生地が3種類もあるって知ってましたか?
ケーキ屋さんのパティシエは、作るタルトによって「どの生地が合うのかな?」とじっくり考えて作っています。
今回は、パティシエの使う『3種類のタルト生地』の話。
内容は、
- タルトの基本的な知識
- タルト生地の種類や特徴
- パティシエのちょっとした経験談
などを書いてあります。
お菓子作りに興味のある方やパティシエを目指している方にはお役にたてるかな~と思いますので、是非読んでみてください。
ちなみに、
タルトの基礎知識

そもそもタルトとは?
タルトは「パートシュクレ」と呼ばれるタルト生地を使ったお菓子のこと。
甘く、ホロッとした食感を楽しめるタルト生地「パートシュクレ」の上に具材をのせた焼き菓子を、総称して「タルト」と呼びます。
現在では、タルト型(下図)に生地をしいてあれば「パートシュクレ」以外でも『タルト』と読んでいるお店は多いですね。

出典:cotta
タルトとタルトレットの違いとは?
カットして食べる大きいサイズのものを「タルト」、小さい一人サイズのものを「タルトレット」と呼び、サイズで呼び分けます。


タルト生地の種類
タルトの生地は3種類に分かれます。
- パータフォンセ(パート・ブリゼ)
- パートシュクレ
- パートサブレ
です。
それぞれに特徴があり、作りたいタルトに合わせて生地を使います。
パータ・フォンセ(パート・ブリゼ)

パータフォンセはタルトなどの型に敷いて使う生地の総称。
一般的に甘味がなく、お菓子以外にも料理で使用する。練りこみパイ生地なのでタルトに敷いてパイとしても使えます。
パータフォンセはパートブリゼ(brisee:砕けた、壊れた)ともいい、焼いたものを口に入れるともろく崩れ、くちどけのいい状態に仕上げるのが理想。
生地に甘さがないので、
- キッシュ
- かぼちゃのタルト
- タルトタタン
など、野菜や甘味の強いフルーツをつかうと味がよく引き立ちます。
パータフォンセを作る2種類の方法
サブラージュ法
パータフォンセは一般的には、サブラージュ法で作られる。サブラージュ法とは、冷やしたバターと小麦粉をこすり合わせ、サブラージュ(砂のようにサラサラした状態にすること)する。そこから、水分を粉全体になじませまとめる。
クレメ法
クレメとは、バターと砂糖をすり混ぜ、クリーム状にすること。
クレメ法とは、ポマード状のバターに水分を加えて、粉でまとめる作り方。バター(油)が水分に浮いている状態を粉でまとめて層を作るイメージ。
パートシュクレ(pate sucree)

パートシュクレ(pate sucree)のシュクレは甘い、砂糖入りのという意味。
その名の通り、甘いクッキー生地でのでタルト型に敷かずに、そのまま焼いてもクッキーとして食べられます。
作り方もクッキーと同じで、バターをポマード状にして砂糖、卵、粉を加えて作ります。
パートシュクレは甘い生地なので
- イチゴのタルト
- レモンのタルト
- チョコレートタルト
- コーヒーのタルト
など、酸味のあるフルーツや苦みのある食材ともよく合います。
パート・サブレ

パートサブレはパータフォンセやパートシュクレより砂糖、卵、バターの配合が多く、口の中で溶けるような焼き上がりになる。
パートシュクレと同様に焼けばクッキーとして食べれます。
食感に特徴があるので
- フロランタン
- ナッツのタルト
- フルーツタルト
などフルーツとの相性もよく、ナッツ系と合わせればカリッサクッと楽しい食感のタルトになります。
タルトに関する経験談

パータフォンセとパータブリゼ
私が働いていたお店の多くは、パートフォンセと呼んでいました。作り方はお店によって、サブラージュ法とクレメ法で分かれていました。
クレメ法
個人的にはクレメ法がなじみ深く、大量に作りやすかったです。
大量仕込むことが多いお店でしたので、クレメ法で4.5kgを1回で仕込み。
量にして5号サイズのタルト50台分くらいですね。コレを4~5回仕込んだりしてました。
サブラージュ法
サブラージュ法のほうがバターの温度管理(バターを細かくするので溶けやすい)が大変なので少量ならサブラージュ法で大量ならクレメ法で作る印象です。
家庭では、フードプロセッサーで作るサブラージュ法をおススメします。
パートシュクレの扱い
パートシュクレは砂糖が多いので生地も柔らかくなりやすいです。
- 外気温
- 体温
には注意、触り過ぎずに手早く作業しましょう。
生地が柔らかくなると破れたり、穴が開いたりの原因になります。
お店によっては、大型冷蔵庫(チャンバー冷蔵庫)の中で一日中作業することもありますよ。作業はしやすいけど、寒いのでしんどい。
パートシュクレはほとんどのお店で取り扱っているので、パティシエを目指す方は避けて通れないですね。
タルトを型に敷くことを、フランス語で『フォンサージュ』といいます。
実際にお店でも『フォンサージュしといて』など指示されることもあるので、覚えておいて損はないです。
ひとこと
タルトの組み合わせは『生地』×『クリーム』×『フルーツ』の3つだけでもたくさんのバリエーションを創れます。
今回は、その中のひとつ『生地』だけの話です。
- パータフォンセ
- パートシュクレ
- パートサブレ
この3種類を覚えるだけでも創れるものはかなり増えますね。
この3種類以外にも「パイ生地」をタルト型にいれて使用するパティシエさんもいらっしゃいます。
タルト生地(クッキー生地)よりは手間がかかり大変ですがチャレンジしてみるもの面白いと思います。